尊厳死宣言公正証書手続

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尊厳死宣言書について

尊厳死宣言は、患者本人の治療方針について「回復の見込みのない末期状態に陥ったとき、死期を伸ばすだけの過剰延命治療は控えてほしい」という希望を、家族あるいは医療従事者に伝えるもので、多くは「尊厳死宣言書」という書面に残します。様式が定まっているわけではありませんが、真実性の確保という面から、事実実験公正証書の一種である「尊厳死宣言公正証書」として作成することが基本です。

なぜ「尊厳死宣言」が必要なのか?

「亡くなった主人が、人工呼吸器により植物状態のまま2年間病院で寝たきりで、大変つらい想いをした」「依頼者が末期がんなどの重篤な病気にかかったり、意思表示できない状態に陥った」場合などのご経験をされた方が、遺言書作成と併せて尊厳死宣言書を作成するという場面が非常に多くなっています。

身内が重篤な状態に陥り、回復が非常に困難な状態に陥ってしまったとき、貴方は愛する家族のために非常につらい選択を迫られることになります。

つまり延命措置を継続するか、それとも拒否するかの選択となります。

それは、愛する人であればあるほど悩み深く、場合によってはその選択をしたことに深く後悔し、それを長く引きずってしまう。

そんなとき亡くなられた方が生前にはっきりとした意思表示をしてくれていたらどんなにありがたいかと考えます。自分のため、さらに愛する自分の家族のためにも、「尊厳死宣言書公正証書」を作成することは非常に有意義であり、患者ご本人の最期の希望を実現するためのツールとして有効です。

尊厳死宣言書の中身

「尊厳死宣言書」は次の内容を盛り込む必要があります。

書面の中で宣言することのできる内容

1.延命措置の停止



2.苦痛を和らげる処置は最大限利用



3.植物状態での生命維持措置の停止



尊厳死の希望の意思表明

延命治療を拒否して苦痛を和らげる最小限の治療以外の措置を控えてもらい、安らかな最期を迎えるようにして欲しいという希望を明示します(リビング・ウイルといいます)。

但し、最も優先されるべきはご本人の意思です。リビング・ウイルを書いたら終わりでは

ありません。ご家族や医師に伝えておくことが大切です。

ご本人の意思によりご希望であれば「日本尊厳死協会」へのご入会をお勧めします。

◆入会の手続き

①一般財団法人 日本尊厳死協会にお電話で入会書類の送付請求をします。

 本部 〒113-0033 東京都文京区本郷2-27-8 太陽館ビル501

 電話:03-3818-6563

 FAX:03-3818-6562

②送られてきた書類に必要事項を記入します。

③同封の「払込取扱票」に金額と入会希望者の情報を記入の上、郵便局で払込手続きを

 行います(郵便局の受領証は大切に保管)

 会費 正会員:2,000円(年)又は 終身会員:70,000円

④登録完了ができましたら、会員さんには当協会から、会員証、会報の発行(年4回)

 医療電話相談、「私の希望表明書」の送付、受容協力医師リストの送付(希望者のみ)

 があります。

⑤この意思表明とさらに行政書士に依頼する尊厳死宣言公正証書も合わせて作成し、ご

 家族の方や近親者が担当医師にこれらをお渡ししお伝えすることで、担当医のご判断が

 より明確になり、最後のスタイルの方向性が決まることが多いという現実があります。


尊厳死を望む理由

尊厳死を希望する理由を明示します。理由を記載することで、家族や医療関係者への説得力が増します。

家族の同意

宣言書を作っても、家族が延命措置の停止に反対したら、医師はそれを無視することはできません。
宣言書を作成する前に家族と話し合い、同意を得た上で、その同意についても宣言書に記載することが大切になります。

医療関係者に対する免責

家族や医療関係者らが法的責任を問われることのないように、警察、検察等関係者の配慮を求める事項が必要になります。
また、医療関係者に安心を与える意味では、刑事責任だけでなく民事責任も免責する記載をすることも必要といえます。

宣言内容の効力

この宣言書は、判断能力があるときに作成したことと、自分が宣言を破棄・撤回しない限り効力を持ち続けることを明確にしておきます。

注意点

医療行為に関する判断は本人しかできません。しかし、現実の社会では本人に意識がなく意思表示ができない場合、医師は家族に意見を聞き、手術の同意や延命の判断を求めます。
尊厳死を実現するには、医師と家族両方の協力が不可欠です。
家族間で意見の対立があっては困りますので、あらかじめご家族の了承を得ておかれることをお勧めいたします。
なお、遺言書に、尊厳死宣言を記載するのは不適切といえます。
なぜなら、遺言書は死後の事項に関することを書くものであり、死亡後に効力を発揮するものだからです。
「尊厳死宣言書」の書き方は法律で決まっているわけではありませんが、本人の意思を明確にして後日のトラブルを防止するために、公正証書でつくるのが望ましいといえます。

尊厳死宣言公正証書作成の流れ

STEP01.ご相談

ご希望や分からない事をお聞かせください。丁寧にご解答させて頂きます。

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STEP02.尊厳死宣言公正証書を起案

お客様のご希望に沿って、法的に有効な尊厳死宣言の文章を起案します。

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STEP03.公証人に作成を依頼

尊厳死宣言書の起案をご確認頂き、問題なければ公証人に作成を依頼します。
この場合、公証人が五感の作用により直接見聞した事実を記載する「事実実験公正証書」という形になります。事実実験は、裁判所の検証に似たもので、その結果、当公正証書には証拠を保全する機能があります。

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STEP04.公証役場に出向き署名及び調印・保管手続及び配布

公証役場から私共行政書士に完成の連絡があれば、ご本人とともに公証役場に出向き署名、調印を行います。

正本と謄本(コピー)が1部づつ配布されますので、近親者がお受取りになり大切に保管してください。(担当医に事前に当書面をお渡しし、本人の意思であることを、示しておくことが大切になります)