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事務所概要
名称
行政書士 野原周一事務所
所在地
〒675-1112
兵庫県加古郡稲美町六分一1209番地736
TEL
079-495-3254
FAX
079-440-7769
事業内容
・相続手続
・遺言書の作成アドバイス及び公正証書遺言代行手続
・一般貨物自動車(トラック)運送事業各種許認可手続
・農地転用手続
・会社設立手続
・記帳代行手続
Q.質問
相続についての質問です:令和6年4月1日より、不動産の「相続登記の義務化」制度が始まっていますが、父親所有の不動産をすべて私(長男)が相続で譲り受ける場合は、その相続登記の期限は「父が亡くなってから3年」なのか、「令和6年4月1日から3年」なのか、いずれでしょうか?それとも令和6年4月1日よりずっと昔(3年超)の場合は、相続登記の期限を過ぎてしまっているのでしょうか?
A. 回答
はい、まず不動産の「相続登記」というのは、亡くなった方(被相続人といいます)が所有していた不動産の名義を移す(正しくは、不動産所在地の法務局で<所有権の移転登記を行うこと>)ということです。
なぜ不動産の「登記」をするのかというと、「自分のもの」というためには、「登記」という手続をしないと法律上主張できないからです。
これが令和6年4月1日から義務化されたということは、その背景に、「所有者不明土地」が全国で多数あり、行政官庁がその土地を取得しようとしても「誰のものかわからない」、固定資産税、都市計画税を課税しようとしても、「誰に課税すれば良いのかわからない」、その不動産が、「空き家」であれば、放置されていると周辺に迷惑がかかるなど、様々な問題が出てきている為です。
そこで、国が、期限を設け、そのときまでに「相続登記を完了してください」といった、「期限」とは、不動産登記法によると
「第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
2 前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない」とあります。
つまり、相続が開始(例えば、親が亡くなった)したとき、自分が相続人や受贈者であることを知り、かつ「遺産分割協議」をして又は遺言などでその不動産を取得したことを知ったときから、「3年以内」に「相続登記」をしなさい、とういことになっています。
従って、昔、遺産分割協議を済ましてで自分に親の不動産が相続されたとき、「所有権の移転登記」をしていなかった場合は、この相続登記が義務化になった時から、3年以内にすることになっています。(正当な理由がある場合を除く)
また、次の民法の条文が参考になります。
民法等の一部を改正する法律 附則
第5条
6 第二号新不動産登記法第七十六条の二の規定は、第二号施行期日前に所有権の登記名義人について相続の開始があった場合についても、適用する。この場合において、同条第一項中「所有権の登記名義人」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第 号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第二号施行日」という。)前に所有権の登記名義人」と、知った日」とあるのは「知った日又は第二号施行日のいずれか遅い日」と、同条第二項中「分割の日」とあるのは「分割の日又は第二号施行日のいずれか遅い日」とする。
引用:法務省「民法等の一部を改正する法律」
つまり、
相続人は不動産の相続を知った日、または法改正の施行日のいずれか遅い日から3年以内に相続登記を完了させなければなりません。たとえば、法改正が施行された後に、先代が持っていた地方の山林などを相続していることを新たに知った場合、その知った日から3年以内に登記手続きを行う必要があります。
Q.質問
不動産の「相続登記の義務化」の罰則とは?これを免除される「正当な理由」に該当する人とはどのような人ですか?「相続登記」をしない場合の「リスク」とは何ですか?
A. 回答
相続登記の義務化における罰則は、不動産の相続人が相続の事実を知った日から3年以内に相続登記を行わなければならないと定めています。具体的には、相続人が自分が相続人であることと、相続財産に不動産が含まれていることを認識した日からこの期限がスタートします。この期間内に正当な理由なく登記を行わなかった場合、10万円以下の過料が科されることになります。
さらに、この改正法には「住所変更登記の義務化」も含まれています。不動産の所有者が住所や氏名に変更があった場合、その変更を知った日から2年以内に登記簿を更新しなければなりません。この変更登記を怠った場合、5万円以下の過料が科せられる可能性があります。
<相続登記の義務化が免除される(正当の理由)に該当する人とは?>
①相続人が多数で、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に時間がかかる場合
②遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
③相続登記等の申請義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
④相続登記の義務者がDV被害者などであり、生命や心身への危害が恐れられる場合
⑤経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
※法務局の登記官は、これら事情を総合的に勘案し、正当な理由の有無を判断いたします。
<相続登記をしない場合のリスクとは何ですか?>
①権利関係が複雑になる。
法定相続人が既に亡くなっていた場合、代襲相続や数次相続といった非常に複雑な手続きに入ることになります。また、相続人に
面識のない人が出てきたり、連絡先が不明など遺産分割協議自体ができない、困難になってきます。
②不動産を売却できない、不動産を担保に入れてローン等が組めない。
「相続登記」をするためには、「遺産分割協議」を行う必要があり、相続人間の「契約書」としての「遺産分割協議書」を作成し
提出する必要があります。
そして、誰が所有する不動産かを「不動産登記簿」によって、公に証明していきます。
これを行わないと、売却時も、借金の担保としてローンを組めないなど困ったことが多く発生してきます。
アクセス
・神姫バス「相の山」停留所から徒歩5分